鍋で米を炊いてみる

 皆さんは、米を鍋で炊いたこと、ありますか?

 この季節、大型台風が来ると、インスタントラーメンやらパンやらを買い揃え、非常時に備える方もいらっしゃいますね。非常時の備えを行うことは良いのですが、実は、ご飯だって、意外と簡単に鍋で炊くことができることを、多くの方はご存じないのではないでしょうか。

 人は、突然「鍋でお米を炊きなさい」と言われたら、どの程度上手く炊飯することができるのか?

 この疑問を解くべく、実験台となったのは、東京営業所の若林&遠藤のコンビです。
 さて、ふたりは、美味しいお米を、鍋で炊くことができるのでしょうか...?

※画像はすべてクリックで拡大します。

「始めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな!」は知っているけど...

並べられた鍋を前に、困惑するふたり...

 実験台になる若林、遠藤の両名には、事前に何をするかは伝えていません。
 「好きな鍋を選んで、米を炊きなさい」と、今回のミッションを伝えます。

 

 今回用意した鍋は、4つ。

  1. 普通の鍋とガラス蓋
  2. アウトドア用のチタン製クッカー
  3. 土鍋
  4. ダッチオーブン

さて、より上手に米を炊きあげるのは、どちらでしょう?

 

 遠藤は、チタン製クッカーを選択。
 若林は、土鍋を選択しました。

 さて、ふたりの選択は、どうなるのでしょうか??


 今回は、あらかじめ十分に水に漬けた無洗米を用意しました。
 ちなみに、米を炊く際に、あらかじめ水に漬け(「浸漬」と呼びます)、十分に吸水させておくことは、とても大切です。
 下記に、浸漬前の米と、20分浸漬させた米の写真を掲載します。
 浸漬させると、半透明だった米が、白く濁ったように変わっていることが分かります。季節や米の状態にもよりますが、20分程度の浸漬だと、まだ浸漬が十分でない場合もあります。米の状態を見て、浸漬の時間を調整しましょう。

 

 お米を炊く際の水の量はどうでしょう。
 よく、「人差し指の第一関節まで」と言われます。

 通常は、米に対し1.1倍程度の水を足しましょう。
 無洗米の場合は、もう少し水量を多めに。また、今回のように予め浸漬させてある米の場合には、水の量を若干減らしましょう。

 水加減の次に課題となるのは、火加減です。
 一般的には、「始めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな」と言われます。

 若林は、この言葉を思い出し、最初は弱火、沸騰したら強火に調整していきます。

 一方、最初から割と強い火で米を炊き始めた遠藤には、アクシデントが!!
 チタンクッカーの蓋が、沸騰したお湯にお持ち上げられて閉まりません。しょうがないので、ダッチオーブンの蓋を重し代わりに乗せます。

 途中、米の焚き具合を確認するふたり。
 納得がいくまで火を入れたら、火を止め、タオルをかけて蒸らします。

ここでおさらい! 鍋で米を上手に炊く方法

 鍋で米を上手に炊く方法を確認しましょう。

  1. 米はあらかじめ洗い、最低でも20分以上、水に浸す(浸漬させる)。
  2. 水の量は、米に対し、1.1倍程度。
    つまり、1合(180ml)の米に対しては、198mlの水を足す。
    すでに浸漬させた米に対しては、少し水を減らして、米と同量程度の水を足す。
    また、無洗米の場合は、水量を少し多めにする。
  3. 鍋に米と水を入れ、炊き始める。
    火加減は、弱火でスタートし、水が沸騰したら、中火にする。3~4分程度、中火にかけたら、弱火にして4~5分。
    途中、焦げた匂いがしてきたら、火を止める。
  4. 蒸らしは、ふきんやタオルを鍋に掛け、蓋をして、10分から15分程度。

 

 ポイントを挙げます。

  • 水の量は、多少適当でも大丈夫です。
    少なくとも、10ml程度の差であれば、出来に大きな影響はありません。
  • 最初に弱火で沸騰させないと、芯が残ったご飯に炊きあがります。
    ただし、底の厚い鍋(土鍋など)の場合、弱火だと、沸騰するのに時間がかかりますので、調整しましょう。沸騰までに、10分程度はかけましょう。
  • 水が沸騰したら、中火にします。
    その後、蓋から吹き出す蒸気や水泡の具合が変わってきたら、弱火にします。
    (※鍋の種類によっては、蒸気や水泡が変化しないものもあります)
    さらに、焦げた匂いがしてきたら、火を止め、ふきんやタオルを掛けて蒸らします。鍋にふきん等を掛けたら、蓋をかぶせましょう。
  • 「赤子泣いても蓋取るな」とは言いますが、炊けた具合を確認するためには、蓋をとって確認したほうが確実です。
    鍋の壁面付近の米が乾き、米の中央付近表面が水っぽい感じがするくらいでOK。後は蒸らすと、ちょうど水分が良い具合になります。
    お焦げが欲しい場合には、強火で20~30秒程度、最後に加熱してから蒸らします。

 先の写真だと、若林、遠藤も、火を入れ過ぎですね。

 また、鍋の選択ですが、筆者が何度か試し、一番オススメなのは、普通の鍋です。
 蓋がガラスだと、米の炊け具合も確認しやすいので、安心です。

 次におすすめなのが、土鍋です。
 底が厚いので、熱がまんべんなく米に通ります。少し気をつけたいのが、炊飯用の土鍋ではなく、普通の土鍋の場合、焦げ付きやすいこと。

 チタン製クッカーは、熱伝導率が高いため、すぐにお湯が沸騰する反面、炊飯のように、じっくりと熱を入れる調理には不向きです。焦げ付きやすいのもマイナスです。

 一番よろしくないのは、ダッチオーブンです。
 蓋と鍋との密閉性が高すぎるため、適切に水蒸気が飛ばず、米がベタッとした炊け具合になります。また、一般的にダッチオーブンは鋳物のため、食器用洗剤を使えず、使用後には油を引いてサビ防止にします。そのため、ダッチオーブンで炊飯をすると、油分が米に移って、匂いが気になる人もいるでしょう。

 参考までに、筆者が普通の鍋で炊飯した様子もご紹介します。

 

※各写真は、クリックで拡大します。また、矢印キー(→)で次の写真へ遷移します。

試食

 

 さて、試食です。
 もしかすると、若林、遠藤のふたりが失敗することを期待していた方もいるかもしれませんが...、結果は大成功!

 お手本炊飯に比べると、ふたりのご飯はやや硬いものの、これは好みの範囲でしょう。
 芯もなく、また焦げすぎることもなく、上手に炊飯することができました。

 

 念押しになりますが、ふたりは予備知識なく、いきなり「米を炊け!」と言われて、鍋で炊飯しています。もちろん、炊飯器以外で米を炊くなど、初めての経験です。

 意外と、できるものなのですよ!
 炊飯器が普及しているがために、私たちは、「鍋で米を炊くなんて、難しい」と思い込んでしまっているのかもしれません。

 もし、台風等の災害により、ガスや電気が止まっても、カセットコンロなどがあれば、炊飯はできます。
 皆さんも、非常時に備え、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
 

番外編:お茶漬け炊き込みご飯を作る

 

 お米が余っていたので、お茶漬けを投入した炊き込みご飯を作りましたが...
 率直、微妙(笑

 不味いとは言い切れませんが、美味しくもなく...
 普通に、ご飯にお湯を注いで、お茶漬けにしたほうが、美味しかったです。



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