レインボーブリッジを歩く【おぢ散歩】

和泉通信読者の皆さま(の一部??)に、コアな人気を集めている『おぢ散歩』、今回はお台場と東京都心部をつなぐレインボーブリッジを、当社東京営業所所長:太田が歩いてきました。

「えっ!?、レインボーブリッジって、歩いて渡ることができるの?」

そうなんです、意外と知られていませんが、実はレインボーブリッジって遊歩道が併設されているんです。
今回は、レインボーブリッジ遊歩道を歩きつつ、レインボーブリッジ建設秘話や、来る東京オリンピック2020に備えて変わりつつある東京臨海副都心部の様子もご紹介します。
太田たっての希望で、お台場のガンダムにも立ち寄っていますよ!

では、お楽しみください。

※画像はすべてクリックで拡大します。
※一部の写真は、取材日とは別日に撮影しています。

レインボーブリッジに、幻の展望室があった

レインボーブリッジ芝浦側入り口にある看板。よく見ると、「展望室」の「室」の部分が消されています。
レインボーブリッジ芝浦側入り口にある看板。よく見ると、「展望室」の「室」の部分が消されています。

レインボーブリッジ。
東京都港区芝浦付近とお台場を結ぶこの橋は、もしかすると日本でもっとも有名な橋かも知れません。映画のタイトルに冠されたこともありますし、ドラマ、映画などでもたびたび登場します。

今回、太田は芝浦からお台場に向かって歩きます。
最寄り駅であるゆりかもめ:芝浦ふ頭駅からレインボーブリッジの遊歩道『レインボープロムナード』の芝浦側入り口までは、徒歩5分ほど。その入り口にある看板を見て、太田が気づきます。

「あれ、『展望室 遊歩道』の『室』の部分が消されてる...」

ご説明しましょう。
実は、もともとレインボーブリッジ遊歩道『レインボープロムナード』は有料でした。今のように無料になったのは、2000年4月以降のことです。有料だった当時は、芝浦アンカレイジ、台場アンカレイジに展望室があり、入場できたようです。
ちなみに、アンカレイジとは吊橋のメインワイヤーを支え固定するためのコンクリート製重し部分を言います。(橋台、アンカーブロックとも呼ばれます)

芝浦側遊歩道入り口がある、芝浦アンカレイジに近づくにつれて、橋桁を下から眺めることになります。その巨大さと迫力に、初めてレインボーブリッジを歩いて渡る太田、早くもテンションが上り始めました。

レインボーブリッジの高さ、その秘密

芝浦アンカレイジ建物内に入ると、ふたつのエレベーターがあります。
向かって左側がサウスルート、右側がノースルートです。サウスルートからはお台場、品川ふ頭、大井ふ頭、そして遠くには羽田空港を望むことができます。一方、ノースルートでは、浜松町から汐留、晴海、豊洲など、東京都心部の臨海地域を一望することができます。
太田が歩き始めたのは夕暮れ時です。灯り始めた東京都心のイルミネーション、東京タワーやスカイツリーなども愛でることが可能なノースルートを選びました。

ちなみに、ノースルートとサウスルートを途中で行き来する通路は、お台場近くまで歩かないとありません。両方を眺めたい欲張りさんは、往復しましょうね。

エレベーターで7階まで上がるといよいよレインボーブリッジ遊歩道の始まりです。レインボーブリッジは二層構造になっており、上層が首都高速道路、下層が一般道路とゆりかもめ(新交通システム)の走路となっています。遊歩道は、下層の一番外側にあります。
遊歩道は、外側をフェンスに覆われ、内側は多数のクルマが行き交う車道に接しています。都心を一望できる眺めは素晴らしいですが、少々閉塞感を感じるのも事実です。緩やかな上り坂を感じつつ、400mほど歩くと吊橋の中央部に到達します。
同地点の高さは海抜60mです。

ノースルートからの眺望

実はこの高さが決定されるにあたっては、ある経緯がありました。
レインボーブリッジは、ご承知のとおり東京港にかかる橋です。橋が低すぎると船がくぐることができなくなります。

設計陣が考えたのは、当時最大級の豪華クルーズ客船である、『クイーン・エリザベス2』でした。豪華クルーズ客船を受け入れる晴海客船ターミナルが、レインボーブリッジよりも内海側にあったことから、『クイーン・エリザベス2』が航行可能な桁下クリアランスを確保しようと考えたわけです。結果、同船が晴海客船ターミナルに接岸できるよう、レインボーブリッジの軒下クリアランスは最大52mに設定されました。

レインボーブリッジの南方約8kmには羽田空港があります。空港周辺の建築物には航空機の航路を確保するため、高さ制限(制限表面)が設けられます。レインボーブリッジもその例外ではなく、従ってレインボーブリッジは桁下クリアランスだけでなく、主塔の高さも配慮する必要がありました。
さまざまな苦労を経て設計、完成したレインボーブリッジですが、実際には『クイーン・エリザベス2』がレインボーブリッジ下を航行したことはなかったそうです。

時が過ぎ、最新の豪華クルーズ客船のなかには高さ70mを超えるものが登場しています。
こうなると、もうレインボーブリッジ下を航行することはできません。ここ数年、世界的に豪華クルーズ客船の運行が活況を呈しており、日本も例外ではありません。2017年の訪日クルーズ旅客数は250万人をオーバー、前年比27%増となっています。
政府は東京オリンピック2020にあわせて、「訪日クルーズ客500万人」実現を掲げ、超大型豪華クルーズ客船が接岸可能なふ頭の整備を進めています。
そのため、レインボーブリッジのせい(とあえて言いましょう)で最新の超大型豪華クルーズ客船受け入れができない晴海客船ターミナルに代わり、船の科学館の先(つまりレインボーブリッジの外海側)、青海地区に2020年開業を目指し東京国際クルーズターミナルを建築中です。

レインボーブリッジの高さ問題を考えると、「苦労したわりには報われなかったなぁ」という気もするのですが。一方で、この高さ問題が功を奏し、レインボーブリッジは均整の取れた美しいプロポーションを手に入れることができたのかもしれません。

レインボーブリッジ一番の撮影ポイントへ

芝浦アンカレイジから900mほど歩くと、台場アンカレイジに到着です。
台場アンカレイジからみっつ目の橋脚まで歩くと、目障りな囲いフェンスがなくなります。

夕暮れ時に撮影した写真。レインボーブリッジが優雅に曲線を描いているところもポイントです。
夕暮れ時に撮影した写真。レインボーブリッジが優雅に曲線を描いているところもポイントです。

レインボーブリッジ遊歩道において、オススメの撮影スポットはこのあたりですね。

レインボーブリッジは、台場アンカレイジから先、北側にやや曲がりながらお台場へ到着します。ノースルートでは、斜からレインボーブリッジの姿を眺めることになりますが、それゆえにレインボーブリッジを美しく撮影することができます。視線を少し北側に向ければ、東京タワーを始め、新橋~東京駅方面の高層ビル群など、フォトジェニックな被写体がたくさんあります。

正面方向には東京オリンピック2020に向けて選手村が建築されている晴海、そして先日開場したばかりの豊洲市場があります。スカイツリーや葛西臨海公園の観覧車も見えます。

変わりゆく東京の今を眺めることができるこのスポットは、もしかすると東京でも屈指の撮影スポットからも知れませんね。
太田もしきりに写真を撮影しておりました。

芝浦側入り口(芝浦アンカレイジ)から1.6kmほど歩くと、お台場側入り口に到着です。
最寄り駅となる、ゆりかもめ:お台場海浜公園駅まではさらに700m弱歩く必要があります。

ちなみに、芝浦→お台場に向かって歩くほうが、お台場→芝浦に歩くよりも上りは少なくて済みます。お台場から歩き始めると、海とほぼ同じ標高から標高60mまで上がりますが、芝浦から歩き始めると標高50mほどまでエレベーターで上り、ほぼ下り基調で歩くことができます。
歩くことに少し自信がないひとは、芝浦→お台場に向かって歩くことをオススメします。

レインボーブリッジ建設秘話

レインボーブリッジの正式名称は、東京湾連絡橋と言います。レインボーブリッジは、1987年に着工、1993年8月26日に開通しました。
当時ごく限られたアクセス手段しか存在しなかった13号地(※お台場地区の旧称)、有明地区などの湾岸埋め立て地域をつなぎ、臨海副都心の利活用を推進するため、首都高速、一般道路、新交通システムのみっつが通る鉄道道路併用橋として構想されたのがレインボーブリッジでした。

レインボーブリッジ建設にあたっては、さまざまな技術が導入され、いくつもの逸話が語り継がれています。
そのひとつをご紹介しましょう。

吊橋であるレインボーブリッジを支える芝浦アンカレイジ、台場アンカレイジの建設には、困難が伴いました。地盤が軟弱であったためです。巨大な吊橋を支えるためには、平均水深12mの海底から深く掘り進め、巨大で重いアンカレイジをしっかりと埋め込む必要がありました。
その対策として、レインボーブリッジ建設にあたっては、ニューマチックケーソン工法が採用されました。

ケーソンとは、防波堤、ふ頭、橋などを作るときに利用される巨大なコンクリートや鋼の箱のことです。ニューマチックケーソン工法は、ケーソン下部に設けた作業室で地盤を掘り進める工法です。例えれば、逆さにした巨大な洗面器を海中に沈め、生じた空間内で地面を下に掘り進めながら、洗面器(※ケーソン)を地中深く沈めていくイメージです。
生じたケーソンの作業空間内は、高圧に保たれます。そうしないと水や土砂が侵入してしまうからです。レインボーブリッジの場合、地下46mまでケーソンを沈めました。ケーソン内作業空間の気圧は最大4.6気圧になります。さすがに4.6気圧の空間でひとが作業するのは難しい(※意識障害などを起こすそうです)ので、ケーソン周囲の水を汲み上げる揚水作業により最大3.5気圧の加圧で済むようにしたそうです。
とは言え、大気圧の3倍以上の環境で、作業員が働き続けるのは大きな苦労を伴います。

「入っていくのは比較的易しいんですけど...」と当時を知るひとは語ります。
耳抜き(※鼓膜内外の気圧を調整する方法)ができれば、とりあえずケーソン内作業空間に入ることはできるそうですが、その中で作業をできるかどうかは、また別問題なんだそうです。
ケーソン底での作業は、潜函夫という専門工夫が担当しますが、連続で作業できるのは2時間強が限度です。地上に戻る際には、作業時間と同じ減圧時間をかけることが必要となります。

レインボーブリッジの巨大ケーソンは、横方向で平均誤差7cm、傾きでは平均誤差5mmという、高い精度で海底に埋め込まれました。

レインボーブリッジは、高い技術力と多くのひとの苦労の積み重ねで完成したわけです。

お台場でガンダムを愛でる

お台場に立つユニコーンガンダム前で記念撮影をする太田。
お台場に立つユニコーンガンダム前で記念撮影をする太田。

レインボーブリッジ遊歩道お台場入り口を出た太田は、ガンダムを目指します。お台場海浜公園は、お台場のランドマークとも言える場所であり、おぢ散歩当日も多くの観光客で賑わっていました。途中、砂浜に面したカフェでビールを呑む誘惑に抗いながら、歩くこと30分弱。凛として立つガンダムまでたどり着きました。

現在、お台場に立つガンダムは、『機動戦士ガンダムUC』に登場するユニコーンガンダム(RX-0)です。2017年3月までは『ガンダム』(RX-78-2、いわゆるファーストガンダム)がありましたが、建て替えられ、2017年9月からはユニコーンガンダムがお台場に立っています。

作品中において、ユニコーンガンダムは「ユニコーンモード」と呼ばれる通常形態と、「デストロイモード」と呼ばれる鬼無双形態のふたつの顔を持ちます。お台場に立つユニコーンガンダムでは、このふたつのモード変形を楽しむことができる演出が定期的に開催されます。

ユニコーンガンダムの前には撮影用の高台が用意されています。ユニコーンガンダムをバックに撮影した写真を売りつけようという下心たっぷりのビジネスを展開しているのですが、持参したスマホやカメラで撮影もしてくれます。こっちは無料なので、太田もしっかりと撮影してもらいました。

 

レインボーブリッジ遊歩道を楽しみガンダムで締める、お台場きっての観光コースを楽しんだ太田、とても満足したみたいですよ。
お手軽に楽しめ、でも満足感たっぷりのレインボーブリッジ『おぢ散歩』、いかがでしたでしょうか。

機会があれば、ぜひ皆さまもお楽しみください。

ではまた次回の『おぢ散歩』、楽しみにしてくださいね!

フォトギャラリー 『お台場を歩く【おぢ散歩】』

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レインボーブリッジ遊歩道 『レインボープロムナード』の営業時間や休館日について

レインボーブリッジ遊歩道は、夏季と冬季で営業時間が異なります。また休館日もあります。東京都港湾局Webサイト「よくいただく質問集」に営業時間や休館日の案内があります。

臨時閉館などを知らせる公式Webサイトは存在しないようです。訪問の際には、お電話で問い合わせたほうが安心でしょう。

※上記ページ下部の方に、「東京港臨海道路関係/レインボーブリッジ」の問い合わせ電話番号が記載されています。

参考



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