和泉'sブログ このサイトは、和泉の今をお届けするブログサイトです |
年間の登山者数が300万人を超える高尾山。
2009年に『ミシュラン・グリーンガイド』で三ツ星観光地として取り上げられ、また登山ブームも追い風に、国内外を問わず屈指の人気観光スポットのひとつとして名を馳せています。
今回のおぢ散歩では、高尾山が人気を集める秘密を探っていきましょう。
※画像はすべてクリックで拡大します。
まずは、今回の参加メンバーを紹介しましょう。
当社からは、東京営業所長である太田、そしてバリバリのインドア派:若林に加え、おぢ散歩横須賀編でも登場したライターさかたの妻:みお、そして取引先である秋元運輸倉庫からたまちゃんが参加します。
おぢ散歩と言いながら、なんだかおじさん率が低めな今回のおぢ散歩隊。
さて、一行は高尾山のどんな魅力を発見するのでしょうか!?
多くの登山の場合、登山道までのアクセスが、実は結構面倒だったりします。
最寄り駅からバスで数十分揺られて、ようやく登山道に辿り着く、なんてところも珍しくありません。
高尾山の魅力のひとつ、それはアクセスが良いこと。
新宿駅から京王線:高尾山口駅までは約1時間。登山口までは駅から5分弱。こんなにアクセスの良い登山なんて、そうそうありません!
きれいな駅舎に加え、温泉施設も併設する高尾山口駅。
このいたれりつくせり感は、高尾山登山の大きな魅力です。
高尾山では、体力や気分に合わせてさまざまな登山が楽しめます。
体力に不安がある方や、小さなお子さん連れの家族は、文明の利器であるケーブルカーないしリフトを使うと良いでしょう。一番斜度がキツく、体力的にも辛いところをショートカットできます。
ケーブルカーやリフトは、山頂で気持ちよく呑み過ぎてしまったお父さんの下山手段としても最適です。
登山道は大きくみっつあります。それぞれの特徴を挙げましょう。
高尾山では、上記の他に2号路、3号路、4号路といった、主に1号路から楽しめるバリエーションルートの他、各ルートをつなぐアクセスルートも存在します。
また、高尾山口駅以外にも、高尾山山頂から相模湖方面へつなぐ、JR:相模湖駅をアクセスとする眺望抜群のルート。高尾山山頂から、小仏峠や影信山、陣馬山へと尾根沿いをつなぐ距離を稼ぐことのできるルートも存在します。
後者のルートは、トレイルランナーの皆さんに人気のルートですね。
高尾山というと、登山初心者向けの山だと思っている方も多いと思いますが、実はそのバリエーションルートは驚くほど豊富で、また体力や季節に合わせてさまざまな楽しみ方ができる山です。
初心者からベテランまで楽しむことができる、バリエーションルートの豊富さも、高尾山の魅力でしょう。
私ども、おぢ散歩隊が選んだのは、1号路です。
舗装された道が続き、歩きやすい道ではありますが、とにかく斜度がキツい!
それもそのはず、登山口からリフトの終点に至るまでの1号路、平均斜度は約15%。厳しいところでは、20%を超えます。
高尾山が初めてのたまちゃん、早くも弱音を吐き始めます。
1号路の途中にはお店が立ち並び、魅力的なおやつが並んでいますが、おぢ散歩隊がお勧めするのは、みたらし団子と天狗焼。
特に、天狗焼はぜひ味わって欲しい!
一見するとたい焼き風の天狗焼ですが、たい焼きとは似て非なるもの。
もなか風のカリッとした皮に包まれるのは、モチの入ったあんこ。程よい甘さが、疲れた身体を癒やします。
天狗焼の売店は、登山道から少し外れたケーブルカー駅のそばにあります。
絶景を眺められる展望台もありますので、ぜひ休憩がてら立ち寄ってみてください。
リフト/ケーブルカーの駅から土産物屋や食堂が並ぶ一角を抜けると、道は広く、またなだらかになります。
ここからが、本格的に薬王院参道のスタートです。
浄信門を抜けたあたりで、前方の木々をよく観察してみましょう。
左手の木々は暗く、右手の木々は明るく見えます。
これは、左右で植生が違うことが原因です。右側、つまり北側に生育するのは、イヌブナなどの落葉広葉樹。左側、つまり南側に生育するのはカシやヒイラギなどの常緑広葉樹です。落葉広葉樹のほうが葉が薄く、また明るい緑色のため、左右で明るさが違って見えるわけです。
関東近郊の低山登山をしていると、植林された杉林がとても多いことに気が付きます。
高尾山は薬王院を備える信仰の山であったため、植林が行われず、自然の植生が残されています。高尾山のような近郊の山において、これだけ豊かな自然林が残されているのは、実は珍しいことです。
加えて、高尾山は特殊な立地条件に恵まれており、豊かな植物群を湛えています。
高尾山に生育する植物は、1598種。
屋久杉で有名な屋久島で1723種、イギリス全土で1859種と言いますから、高尾山がいかに多様な植物を育んでいるかが分かります。
新宿からわずか1時間の場所に、これだけ豊かな自然があることが、高尾山の魅力のひとつなのです。
高尾山の中腹に位置し、文字通り高尾山の顔である高尾山薬王院が開かれたのは、744年のこと。
聖武天皇の勅命によって、行基が開山したと伝えられます。
戦国時代、関東を支配した北条一門にとって、相模・武蔵・甲斐との国境に位置する高尾の地は戦略上重要な場所でした。八王子城城主である北条氏照は、薬王院を大切に保護し、高尾山の木々、竹、植物に至るまで、一切の伐採を禁止しました。江戸時代になると高尾山は幕府直轄の天領になり、手厚く保護。さらに明治に入っても、高尾山は皇室管理の土地として保護されます。
高尾山が豊かな自然林を現代に引き継いでいるのは、時の施政者に保護され続けたからなのです。
約1300年に渡り、高尾山の中心であった薬王院は、現代に見事な社殿を残しています。
また、薬王院が山頂ではなく、登山道の途中にあるというのも絶妙です。
ちょうど歩くことに疲れてきた頃合いに、眼前に現れる薬王院。
その厳かな姿は、単調になりがちな登山にスパイスを与え、新鮮な感動を与えてくれるのです。
薬王院まで来れば、山頂はもうすぐです。
途中、足裏に心地よい木甲板の道を歩きながら、いよいよ山頂に到着!
途中、だいぶ寄り道しながらも、約2時間で登頂しました。
下りは、6号路を歩きます。
薬王院を筆頭に、土産物屋や食堂などが並ぶ1号路と違い、きらびやかな華やかさはありませんが、その分、高尾山が湛える自然を満喫できるのが6号路の魅力です。
実は、ちゃんとした昼ごはんを食べていないおぢ散歩隊。
下山して、蕎麦屋を目指します。
とろろ蕎麦は、高尾山名物のひとつ。
高尾山登山口から伸びる通りには、土産物、まんじゅう、漬物などを扱う店とともに、いくつもの蕎麦屋さんが並びます。
おぢ散歩隊も、蕎麦屋に入り、ビールと共にとろろ蕎麦で遅めの昼ごはんです。
疲れた身体に染み入るビール。
のどごしの良いとろろに、蕎麦の香り。
皆、あっというまに蕎麦を食べてしまいました。
高尾山登山の魅力って、つまるところは「王道の癒やし」ではないでしょうか。
自然を愛で、汗を流し、神様を詣で、そして美味しい料理を楽しむ。
記事中で触れた「六根清浄」ですが、六根とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、そして意識を指します。高尾山に登れば、六根は自ずとリフレッシュされることでしょう。
高尾山は、古くから人々を集めてきました。
例えば戦国時代。当時から富士山は信仰の対象でしたが、関東の人々にとって、北条氏の敵国である甲斐:武田氏の領土を通っての富士山参拝はできません。そこで、薬王院の奥の院のさらに奥にある富士浅間社、そして富士山を美しく見晴らすことができる高尾山が、富士詣の代わりとなったのです。
江戸時代になると、富士詣はさらに人気を集めます。
しかし、富士山は女人禁制。女性が登ることはできません。そこで、女性も詣でることのできる高尾山が人気を集めたわけです。
こう考えると、高尾山で得られる経験って、スタイルは多少変わっても、ずっと昔から繰り返されてきたこと。
数百年に渡り、多くの人を癒やしてきた王道のスタイルが維持されていること、これが高尾山の魅力ではないでしょうか。
さて、次のおぢ散歩はどこに行くのでしょう?
皆さま、お楽しみに!
高尾山の登山ルートについては、こちらのWebサイトが詳しいです。
ケーブルカーやリフトの運行情報はこちらから。
そして、高尾山情報と言えば、もちろんこのWebサイトも外せないですね。