アルミも錆びますから!!─Zerust®HOF気化性防錆フィルム/ストレッチフィルム(非鉄用)のご紹介

アルミニウムに生じた白サビ
アルミニウムに生じた白サビ

 アルミニウムも錆びますよ!

 世間では「アルミは錆びない」なんて言う、都市伝説的な勘違いもまん延しているようですけど、アルミニウムは「錆びにくい」だけで、錆びないわけではありません!

 今回は、アルミニウムと錆の話題を提供しつつ、アルミニウムの防錆に効果的な、Zerust®HOF気化性防錆フィルム(非鉄用)とZerust®ストレッチフィルム(非鉄用)をご紹介しましょう。

そもそも「錆(さび)」ってなに?

鉄に生じる赤さび。鉄製品の品質を損なう大敵です。
鉄に生じる赤さび。鉄製品の品質を損なう大敵です。

"金属の表面が、水や酸素に触れて、できる、色の変わった部分。
鉄にできる赤さびや黒さび、銅にできる青さびなど"

(三省堂国語辞典)

 

"一般には「金は錆びない」、「銅の錆」とか「錆びにくいアルミニウム」というような金属全般の腐食生成物を錆と呼ぶが、腐食防食学の分野では、鉄や鉄合金の腐食生成物のうち、水に不溶のもののみを「錆」「鉄錆」と呼び、非鉄金属の場合は「腐食生成物」と呼ぶ"

Wikipedia

JIS規格では、 「腐食」と「さび」について、以下のように定義しています。

腐食
金属がそれを取り囲む環境物質によって、化学的又は電気化学的に侵食されるか若しくは材質的に劣化する現象。

さび
普通には、鉄表面に生成する水酸化物又は酸化物を主体とする化合物。広義には、金属表面にできる腐食生成物をいう。

JIS Z 0103-1996 「防せい防食用語」

 

 赤茶けた鉄さびは、皆さまも目にしたことがあるでしょう。
 アルミニウムの場合、白さびと呼ばれます。長く放置していた一円玉が、全体的に白っぽくなっている様子を見たことがある方もいるかもしれません。あの白いものが、アルミニウムに発生した白さびです。

 ただし、前述のようにさびとは鉄に生じるものであって、厳密に言えばアルミニウムに生じるものは、さびではなく腐食生成物と呼ばれます。
 もっとも、「アルミニウムの白さび」という呼び方は、一般に広く使われていますので、本稿でも「白さび」と記載します。

42年間、海岸近くの歩道橋を守り続けた、アルミニウムの耐食性能

 昭和51年(1977年)に施行された、海岸近くの歩道橋がありました。場所は、和歌山県海南市冷水地区です。
 この歩道橋に使われた鋼材には、アルミニウムが防錆・防食溶射されていました。鋼材の表面にアルミニウムを吹き付けて被膜を形成、鋼材を塩水などから守り、歩道橋の安全性能を守るわけです。

 施行から42年後の2019年、この歩道橋は道路拡張工事に伴い撤去されました。
 そこで撤去された鋼材を切り出し、アルミニウムの状態に対する研究が実施されました。

 この歩道橋は、42年間一度も補修工事を行っていなかったそうです。さらに、海からの潮風、塩水にさらされ、海鳥の糞が溜まるなど、とても過酷な環境下にありました。
 にも関わらず、被膜の剥離やさびの発生、顕著な腐食もなく、歩道橋は健全な状態を保っていたそうです。

 こういう事例を耳にすると、「ああ、アルミは錆びないんだなぁ」と勘違いする人もいるかも知れませんが...

「さびとの戦い」──オールアルミニウムボディを採用したホンダ初代NSXの苦労

 1989年に発表され、翌1990年に発売された国産スポーツカーの名車、ホンダNSXは、世界初のオールアルミニウムボディを実現しました。

 ホンダが持つ技術の粋を結集させて作り上げられたNSXでは、スポーツカーに求められる軽量性を実現するため、複数のアルミニウム原材料を組み合わせています。

ボディ部位 材料の種類 主目的
 パネルアウター  6000系  高成形性・耐耐蝕性
 パネルインナー  5052-0  高成形性・高耐食性
 骨格  5182-0  高強度・高溶接性
 サイドシル  6000系押出  高押出性・高溶接性

 ただし、NSXは高価なアルミニウムを使用したことから、車両価格も高くなってしまいました。そこで、アルミニウムとスチールを適材適所で使い分けることで、軽量性などのアルミニウムがもたらすメリットと、適正な車両価格を実現しようという車両が生まれました。
 ホンダ創立50周年記念として1999年に発売された2シータースポーツカーS2000、レジェンド、アキュラRLX(日本未発売)などが、アルミとスチールをハイブリッドしたボディを採用しています。

 先の歩道橋の例は、アルミニウムの高い耐食性能を示しはしましたが、さびが発生しなかったわけではありません。
 対して自動車の場合、さびは商品性と安全性を損ない、クルマとしての寿命を縮める天敵です。

 ホンダは、スチールとは異なるアルミニウムならではのさびや、その発生原因を研究し、克服しながら、NSX、S2000といった名車を生み出していったのです。

活用が進むアルミニウム部品

 ボディに限らず、最近では自動車にもさまざまなアルミニウム製部品が使われるようになっています。
 理由の一つは、自動車のEV化です。
 EV車は、旧来のクルマよりも、より多くのアルミニウム製部品を用いています。

 誤解を恐れずに言えば、これまでは鉄部品が主流でアルミニウム部品が少なかったことから、アルミニウムに白さびが出ても気にしないか、廃棄して新しいものを使用するといった対応が行われるケースもありました。
 しかし、さびは美観を損なうだけでなく、さびのせいで生じる製品表面のデコボコが、その製品・部品の機能や可動性能に悪影響を及ぼすこともあります。
 アルミニウム製部品の利用される範囲が拡大していくにつれ、アルミニウムの腐食抑制の需要も拡大しています。

アルミニウム等の非鉄金属にも有効なZerust®

アルミコイルを包装したZerust®HOF気化性防錆フィルム(非鉄用)
アルミコイルを包装したZerust®HOF気化性防錆フィルム(非鉄用)
Zerust®HOF気化性防錆フィルム(非鉄用)の原反
Zerust®HOF気化性防錆フィルム(非鉄用)の原反

 ご紹介するZerust®HOF気化性防錆フィルム(非鉄用)は、アルミニウムなど非鉄製品の腐食抑制に特化した気化性防錆フィルムです。新しく、部分的な防錆に最適なストレッチフィルムタイプも登場しました。

 Zerust®HOF気化性防錆フィルム/ストレッチフィルムを使用することで、保管や輸出時の腐食からアルミニウム製部品を守ります。
 使用方法は簡単、腐食を抑制したい部品を包むだけです。

  • 包むときは、気化性防錆剤が包装外に流出しないよう密封してください。
  • 部分的に防錆したい場合は、防錆したい部分にZerust®ストレッチフィルム(非鉄用)を2~3重に巻き付けてください。
ゼラストフィルムラミエアセル
Zerust®フィルムラミエアセル

 以前にもご紹介しましたが、既に弊社ではゼラストフィルムとエアセルマットをラミネートした製品を別注対応で承っております。
 HOF(非鉄用)フィルムとのラミネート品は現在常備しておりませんが、別注にて対応可能ですのでご相談ください。

 今までの包装を、Zerust®フィルムに変えるだけでアルミニウム製部品を腐食から守ることができます。
 大切な部品を腐食から守りましょう。

出典・参考

  • 「海岸近くで42年間供用されたアルミニウム溶射Ⅰ型桁の耐食性」

植野 健, 下地 悠, 中村 元昭, 植野 修一, 竹本 幹男
防錆管理 / 日本防錆技術協会 [編]  2021.1

 

  • 「アルミニウムの腐食・防食(その7)自動車用アルミニウムの防錆手法」

山口 賢之 
防錆管理 / 日本防錆技術協会 [編]  2013.8

 



▲ページトップに戻る