2030年に「完全循環型」包装の実現を目指す、「PPWR」(EU)を解説

 欧州連合(EU)における包装資材およびそれに伴う廃棄物管理の法的枠組みは、歴史的な転換点を迎えています。
 2025年2月11日に正式に発効した「包装及び包装廃棄物規則(PPWR:Packaging and Packaging Waste Regulation (EU) 2025/40)」は、2026年以降、段階的に義務化が始まります。

 PPWRの特徴は、「規則(Regulation)」であることです。
 従来の「包装及び包装廃棄物指令(PPWD:Directive 94/62/EC)」は「指令(Directive)」でしたが、「規制」であるPPWRは、より強い強制力を持ち、EUに輸出する、すべての企業が直接遵守しなければならない点が大きな特徴です。

 食品・化粧品・家電・飲料など、包装を伴うあらゆる製品が対象となるため、もちろん日本企業にも大きな影響があります。

なぜPPWRが必要になったのか?

 PPWRが求められた背景には、深刻化するゴミ問題と従来の法制度の限界があります。
 理由は大きく以下の3点に分けられます。

  1. 包装廃棄物の爆発的な増加
    コロナ禍を機に、ネット通販やデリバリー、テイクアウトなどの消費行動が広く定着した結果、包装ゴミが急増しました。2021年のEU域内における包装廃棄物は約8,400万トンに達しており、このまま何の対策も講じなければ、2030年までにさらに19%増加すると予測されています。この急激な増加ペースに、既存の回収・リサイクル処理能力が追いつかなくなっていました。

  2. バージン材料への依存と脱炭素の必要性
    市場では、安価な新規プラスチック(バージン資材)に依存する構造が続いていたため、再生プラスチックの普及が進まず、リサイクル産業が活性化しにくいという市場の失敗が起きていました。
    この状況を解決し、2050年までの気候中立(カーボンニュートラル)達成に向けて強制的に循環システムへ促す必要があったのです。 
     
  3. 規制の足並みを揃えるため
    これまでの緩やかな「指令(Directive)」という枠組みでは加盟国ごとに対応にばらつきが生じていました。そこでEU全域に直接適用される「規則(Regulation)」へ格上げし、環境ルールを完全に一律化・統一することが求められたのです。

PPWRの重要ポイントを、「わかりやすく」ピックアップ

  • 2030年までにすべての包装をリサイクル可能とすることを目指します。
    包装はリサイクル性能に応じてA〜Cの等級で評価されます。
    • 2030年以降:C以上でないとEUで販売不可
    • 2038年以降:B以上が必須
  • プラスチック包装は、再生材の使用が義務化されます。
    • 2030年:PETボトルなどで30%以上、その他プラ包装で35%以上
    • 2040年:50〜65%へ引き上げ予定
  • 再利用(リユース)・詰め替え(リフィル)が義務化されます。
    飲料容器、テイクアウト容器、パレット包装などで、一定割合の再利用が求められます。

 

 PPWRは、EU圏内で商品を販売するすべての企業が守らなければなりません。当然、日本企業も対応を求められます。

  • 包装材の見直し
  • 再生材の調達
  • ラベル表示の変更
  • データ管理体制の整備

 なにせ2030年までにすべての包装をリサイクル可能な「完全循環型」を実現するわけですから、早急な準備と対策が必要となります。

【和泉へのお問い合わせ】皆さまは、PPWRについてどんな懸念を抱いているのか?

 PPWRに対する関心の高まりから、弊社(株式会社和泉)に対してもお問い合わせが増えています。
 皆さまからよく頂くお問い合わせとその回答をご紹介しましょう。

Q.「第5条:有害物質の使用規制」について

 特に多いのが、PPWR第5条に該当する「包装材に含まれる鉛・カドミウム・水銀・六価クロムの合計濃度が100mg/kgを超えていないか?」についてです。

 弊社では以下を実施し、先の有害物質が、弊社製品に含まれていないことを確認しています。

  • 原料メーカーへの確認
  • 外部専門機関による弊社製品の分析実施(毎年)

 

※付記
PPWR第5条「包装材に含まれる物質に関する要件(Requirements for substances in packaging)」では、他にも「PFAS(有機フッ素化合物)について、一定の基準値を超えるPFASが含まれる「食品接触包装」は市場に上市させてはいけない」という規定があることを付記しておきます。

Q.「第6条:リサイクル可能な包装」について

 弊社製品は、以下を満たすリサイクル可能な包装材であり、PPWRにおける要求を満たしています。

  • 食品用途にも使用可能(ポジティブリスト制度に適合した原料を使用)
  • 原料としてポリエチレンを使用

「2030年の義務化に向けて」──和泉は、お客様の確実な対応をサポートします!

 PPWRの施行により、これからの包装材選択には「リサイクル可能であること」や「再生材の活用」が当たり前のように求められるようになります。

 弊社の気泡緩衝材エアセルマットは、ポリエチレンを原料としたリサイクル可能な包装材であり、有害物質の管理基準もクリアしているため、これからの厳しいEU規則にも柔軟に対応可能です。

 「2030年という大きな転換期を、ビジネスの停滞ではなく『新たなビジネスチャンス』へと変えるために」──弊社はこれからも最新情報の収集と徹底した品質管理を欠かさず、EUでビジネスを行うお客さまの頼れるパートナーとして、サポートに努めてまいります。

 包装に関するお悩みやご質問がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。



▲ページトップに戻る