【勉さんのちょっといい話】 物流を軽視するなかれ!

このメルマガを読んでいる人で、「物流」という単語を知らない人はいないでしょう。
でも、物流の重要性とポイントをきちんと理解している方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか?

今回は、物流の重要性を、物流機能のひとつである梱包を例にとって考えてみましょう。

 

 

まずはおさらいです。

『物流とは、商品を生産者から消費者へ移動させる輸送活動と、それに付帯する流通加工や保管、荷役などを包括した経済活動のことを指す』

これが、物流の定義です。物流は以下6つの業務に分類されます。

  • 運送/輸送
  • 保管
  • 荷役
  • 包装
  • 流通加工
  • 情報処理

サラリーマン時代、私はトヨタグループ内で物流業務を担当していました。
「先生」と呼ばれる立場になった今は、中小企業を対象に物流改善や運送会社のコスト削減などをアドバイスしています。

物流というのは、ありとあらゆるビジネスにおいて、とても重要な仕事です。
ところが、物流を軽視する人のなんと多いことか...。
物流を、底辺の仕事だと思っている人がいらっしゃる。つまらない仕事だと口にして、はばからない人もいらっしゃる。
嘆かわしいことです。

「物流部門に配属された時、かなり落ち込んだ...」とおっしゃった社長がいました。大学卒で物流部門に配属され、ダメな人材であると烙印を押されたような気分になったおっしゃる人もいます。

だから...、なのでしょうか。
自分たちの大事な商品を運んでいる運送会社をいじめる人がいるんですよね。

コスト削減の号令がかかると、まず運送会社に輸送費の削減を求める人。
「荷物を運ばせてやっているんだ!」と、弱い立場の運送会社にコスト削減を求めるのが当然と思っているんですな。
運送会社は、中小企業が大半を占めています。国内の運送会社の中で、いわゆる大企業に分類される企業は1%もなくて、一方で従業員が10名以下の小さな会社が47%を占めているのが運送業界の実態です。

中小企業だから、発言力もありません。
「コスト削減!? できません!」なんて言った日には、取引停止の恐怖ですよ。

だから、運送会社は自社社員、ドライバーさんたちの給料を下げてまで、荷主のコスト削減要求に応えようとする。
結果、良い人材を集めることもできないし、人材育成もできません。

典型的な、悪循環です。

 

私自身が、包装の仕事に関わったときのことをお話ししましょう。
正直に言います。
包装資材管理部門に配置換えになった時は、「私は左遷された...」と思いました。
ところが、いざ包装の仕事を始めると、とんでもなく楽しく、やりがいのある仕事だと気が付きました。

「包装なんて、ただ包むだけだろ??」

そんなふうに思っている方もいることでしょう。私もそうでした。
違いますよ!

包装の主な目的はみっつです。

  • 商品の保護
  • 商品の価値向上
  • 荷扱のしやすさを実現

例を挙げましょう。

  1. 包装資材の改善によって、大幅に利益率をアップできた企業がNHKで紹介されていました。
    その企業は、赤字からの脱却を果たしたそうです。
  2. 包装仕様の設定が悪く、多くのムダが発生していたメーカー。
    商品のサイズに合わせて梱包すればコスト削減につながるのですが...
  3. 中国に生産工場を持ち、販売拡大を目論むメーカー。
    包装は破れていても気にしない体質でした。保管、出荷の管理や品質もずさん。当然の結果として、不良品が多く、ウン億円単位の弁済金が発生しているとのこと。

2.と3.は、実際に私が物流改善の相談を受けた例です。

包装は、商品の価値を向上し、やり方次第で大きなコスト削減も行うことができる物流行程の重要なポイントのひとつです。でも、2.の企業も、3.の企業も、物流、そして梱包の大切さを理解してくれませんでした。
結局、両方ともお断りしてしまいました。
これも、嘆かわしいことですな。

 

今回は、包装を例にとって物流の大切さをお話ししました。
ちなみに、冒頭の社長さんも、私同様、物流の仕事に関わって、初めて企業における物流の大切さを知ることができたそうです。

モノを作っても、運ばなければ売ることはできません。
物流がなければ、経済活動は成り立ちません。

あたり前のことです。にも関わらず、物流を軽視する方がいらっしゃることは、残念でなりません。

あなたの会社の物流業務を見直してください。

「これでいいのか?」

常に、疑問を持ち、考え、そして行動してください。
物流を軽んじる企業は、良い仕事をできませんよ!

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