2016年

10月

14日

失敗から始まった顧客参加型の製品開発(帯電防止エアセルマット)

旧タイプの界面活性剤型帯電防止製品と、新タイプの導電型帯電防止製品の違い。和泉エアセルマットが、新タイプの帯電防止製品を製品化するまでには、痛い失敗がありました。
旧タイプの界面活性剤型帯電防止製品と、新タイプの導電型帯電防止製品の違い。和泉エアセルマットが、新タイプの帯電防止製品を製品化するまでには、痛い失敗がありました。

 和泉の帯電防止製品は、”いいね”! 

今では、こんなありがたいお声をユーザー様からいただくようになった帯電防止エアセルマット。一部の大手弱電メーカー様においては、和泉の帯電防止エアセルマットを包装仕様の中にスペックインしていただいています。
しかしながら以前の帯電防止エアセルマットは、決して胸を張ってご紹介できるレベルのものではありませんでした。

今回は、失敗しながらもお客様からヒントを頂戴して商品化した帯電防止エアセルマットの開発ストーリーをお届けしましょう。

話は、9年程前にさかのぼります。
お客様からのご紹介で、大手遊技メーカー様の製品組み立て梱包ラインにおいて、帯電防止エアセルマットを採用したいとのお話がありました。仕様など、いろいろご相談をいただいた後、晴れて採用いただくことになりました。製品納入が開始されてまもなく、十分な帯電防止効果が出ていないというクレームを頂戴します。現場へ飛んでいき調査をしたところ、自動梱包ラインで使用されている、たくさんの金属ロールが原因であることが判明しました。金属ロールとエアセルマットの間に想定以上の摩擦が起き、静電気が多量に発生したため、従来の帯電防止エアセルマットでは十分な帯電防止効果を発揮できていなかったのです。

私どもは、帯電防止剤の添加量を大幅に増やすことで課題を解決しようとしました。しかし十分な帯電性能を発揮するどころか、さらなる問題を引き起こしてしまいます。帯電防止剤の添加量を増やしたエアセルマットの表面はベトつき、ライン上で製品がスムーズに流れずに引っかかってしまったのです。
従来の帯電防止エアセルマットは一般に広く使用されている界面活性剤型の帯電防止剤を使用しておりました。その性質を十分認識しておらず、添加量を安易に増やしてしまったため、問題を大きくしてしまったのです。
原料メーカー様、マスタバッチメーカー様のアドバイスを頂き検討した結果、残念ながら従来の界面活性剤型帯電防止エアセルマットでは、件の遊技メーカー様の要求にお応えすることはできないという結論に達しました。

「できません」、「やれません」…
そんなことは、言いたくありません。
「何とかお客様が満足できる帯電防止エアセルマットをを供給したい!!」という想いから、新たな帯電防止エアセルマットの開発がスタートしました。

マスターバッチメーカー様の全面協力のもと、試作した添加剤は数百を超えました。「これぞ!」と選定した帯電防止剤を添加、量産製造機を用いて何度も何度も試作と評価を繰り返します。ようやく、現在の帯電防止エアセルマットのベースとなる製品が完成したときには、2年の月日が流れていました。 
新たな知恵と汗の結晶である”新”帯電防止エアセルマットは、件の大手遊技メーカー様にも及第点の評価をいただき、現在に至るまでご愛顧いただいております。

帯電防止エアセルマット、という製品コンセプトは、市場のニーズを掴んだものであったと考えています。
しかし、その性能は必ずしもお客様の満足を満たすものではありませんでした。失敗をし、お客様には多大な迷惑をおかけしたにもかかわらず、再びご提案、そして採用していただけるチャンスを頂戴できたことは、とても幸運であり、ありがたいことでした。

多くのご尽力と努力の結果、誕生した“新”帯電防止エアセルマット。2014年には、さらなる改良を経て、すべての帯電防止エアセルマットを新タイプにリニューアルいたしました。

特定のお客様だけではなく、より多くのお客様に帯電防止エアセルマットの性能を、お確かめいただきたく存じます。

和泉の帯電防止エアセルマットは、これまでの帯電防止製品と何が違うのか?

和泉が開発した、新タイプの帯電防止エアセルマットは、従来の製品とどこが違うのでしょう?

帯電防止製品は、梱包対象物への静電気障害を防ぐことを目的に使用されます。
帯電防止性能を担う帯電防止剤には、「界面活性剤型」と「持続型」の大きく二種類に分類されます。一般的に販売されている帯電防止製品は、そのほとんどが界面活性剤型ですが、和泉製品は持続型帯電防止剤を使用しています。

界面活性剤型帯電防止製品とは

界面活性剤とは分子内に水になじみやすい部分(親水基)と油になじみやすい部分(疎水基)を両方併せ持つ物質の総称です。
界面活性剤型帯電防止剤はこの性質を利用して表面に浮いてきた界面活性剤成分が空気中の水分を吸収し、そこに帯電防止剤と水の被膜を形成します。通電性の良い水の働きにより静電気を逃がし帯電防止効果を発揮します。

樹脂に添加された界面活性剤のブリード現象(※表面に界面活性剤が浮き出てくる働き)は、樹脂の分子運動による一種のポンプ作用によって起こります。このポンプ作用は、分子が激しく動くほど活発になり、ブリード現象も強く発生します。すなわち、温度が上昇につれて、分子運動が増加、ブリードする量も多くなります。そのため、温度が上昇するとベトツキ等の現象が発生します。
ブリードしても結晶化を保持していればベトツキ等の現象は抑えられますが、一般的に界面活性剤の融点50℃以上になると液状化しベトツキ現象が発現、接触している対象物に転写する要因になります。
反対に温湿度が低くなれば分子運動が弱まりポンプ作用は抑制されるため、今度は(空気中の水分が少なければ)通電性作用も弱まってしまいます。

持続型帯電防止製品とは

持続型帯電防止製品とは、導電物質を樹脂内に分散させ導電回路を形成することで、帯電防止効果を発揮するタイプのことを指します。

なぜ持続型というと一度導電回路を形成すれば(※「ネットワーク化」と言います】)、静電気の逃げ道が確立され、原理的には半永久的にその効果を保持するからです。

持続型のメリットは、周りの環境(温湿度)に左右されにくく、帯電防止効果が低下することなく発揮するという特徴を持っていること。
反面、樹脂内に十分な導電回路を形成させるためには、界面活性剤型に比べ多くの添加量が必要になるというデメリットもあります。ただでさえ界面活性剤型よりも高価である持続型添加剤を、より多量に添加しなければならないため、製品価格が高価になってしまいます。
もうひとつのデメリットとして、たくさんの添加剤を製品に入れると樹脂フィルムそのものの物性を低下させる要因になりかねないことが挙げられます。

高機能帯電防止エアセルマットの誕生

和泉の帯電防止製品は「持続型」でありながら、独自に開発された拡散剤を導電物質と一緒に添加することによって、優れた分散性を備えました。その結果、他の持続型帯電防止剤より少ない添加量でも同等な効果を発揮することを可能にしたのです。
結果として、コスト上昇を抑え、使いやすい価格でお客様に帯電防止製品をご提供することを可能としました。

さらに、和泉の帯電防止製品には、帯電防止効果に優れた添加剤をもう一種加えています。持続型帯電防止剤に対し、ひとつのマスタバッチとして統合することにより、完全な和泉オリジナル帯電防止剤として添加されております。

だからこそ、私どもは誇りと自身を持って、和泉の帯電防止製品を、「高機能帯電防止エアセルマット」と呼ぶのです。

添加剤による帯電防止製品の比較
添加剤による帯電防止製品の比較

和泉 高機能帯電防止エアセルマットの特徴

  • 添加剤自体の力で帯電防止効果を発揮すること
  • 帯電防止性能が高いこと(表面固有抵抗値:10x9乗~10x11乗)
  • 環境(温湿度)に左右されにくく安定した性能を発揮すること
  • 長期にわたり安定的な効果を発揮すること
  • 帯電減衰性に優れていること
  • 一般の【界面活性剤型】帯電防止製品と同等レベルの価格を提供しています
  • 梱包対象物への添加剤の移行性が低いこと。

 

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