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令和元年、和泉は、外国人技能実習制度により、ミャンマーから3名の技能実習生を受け入れています。
彼らは実習生として、ポリエチレン成形に関する製造から加工までの”ものづくり”を勉強するとともに日本の文化にふれ、祖国に技能と経験を持ち帰ることが目的です。
本記事では、ミャンマーから遠く日本まで来て、当社で奮闘する若者3名の奮闘記をお届けしましょう!
技能実習制度により、遠くミャンマーから日本へ来てくれたのは、チー君、ワィン君、ティン君の3名です。
実は、ミャンマーの方には名字がありません。三つの言葉をならべて名前なんですよ~。
(皆さん、ご存知でした?)
若い3人はもちろんですが、弊社にとっても実習生の受入れは初めてのこと。住まいの確保から身の周り品の調達といった生活支援、作業現場での説明は大変なことも多く、周りのスタッフも含め、貴重な体験(!?)の毎日が続いています。
3人の母国語は、ミャンマー語なのですが、彼らはこちらに来る前に日本語の勉強をしていますから、挨拶や日常会話、簡単な説明は理解できます。
それでも、仕事中の説明などで、ひとたび疑問が生まれると、それを理解してもらうのには、お互い本当に苦労がついてまわります。
最初の数週間は、資料を用いて、エアセルマット製造の説明を行いました。
原料や機械の説明から、実際にどの様に生活の中で使われているのか説明すると、興味深く話を聞いてくれます。
ただし...、ここでも言葉の壁は厚く、説明すれば、うなずいてはくれるものの、後で質問すると、???。きちんと理解できていないことも、たびたびありました。
今後の心配事は尽きないのでした。
エアセルマットの製造工程では、体を使う作業が多くあり、体力も重要です。必要なのは知識だけではありません。そこは若い3人、先輩の動きを真似て、真面目によく働いてくれます。
現場で一緒に作業した経験は、言葉を超えて連帯感となり、よい経験になって欲しいと思います。
来日して数か月後、彼らが日本で勉強したいと思った理由について質問してみました。
◇ ワィン君
日本語や日本の技術を、現地で勉強してみたかった。
富士山や水族館(※ミャンマーにはないらしい)など、日本の観光地を見てみたかった。
◇ ティン君
働き者で規則正しい日本人に会って、話がしてみたかった。
日本のお城に憧れていて、城巡りがしてみたかった。
ドラえもんが好きだった。
◇ チー君
日本での実習を終え、母国ミャンマーに戻った際、日系企業で仕事がしたいと思った。
日本の女性が可愛く、会ってみたかった。
なんとも真面目で予想通りの答え。(マニュアルでもあるのかと思うほどですね)
でも実際に、経済的な理由があることは間違いありません。
ミャンマーの一般的なサラリーマンの月収は、5,000~8,000円と言われ、自習期間中の彼らの稼ぎは母国では驚くほどの金額になるはずです。
それから、技能実習の経験や日本語が喋れるといったスキルは、母国にもどった際の収入アップに大きく関わってくるでしょう。ミャンマーで国際スキルがあるサラリーマンの場合の月収は、30,000~50,000円になるそうです。(もちろん職場にもよるでしょうが)
彼らにとってなにかと誘惑の多い日本での生活なのですが、無駄使いせず両親への仕送りを毎月欠かさない3人でした。(私どもも見習わねばなりませんね)
技能実習生は、3年間にわたり、和泉でのプラスチック成型に関わる作業や知識の勉強を行います。
しかし、それには1年が経過した時点で、技能検定試験に合格することが条件となります。つまり不合格の場合には、そのまま母国に帰らなければなりません。(追試もあるみたいですが・・・・)
試験の課題は、実技と学科に分かれており、実技は機械のオペレーションからできた製品のチェック作業、学科はポリエチレンの特徴や品質に関する知識の問題をクリアする必要があります。
彼らはこの半年、和泉の社員と一緒になって作業に携わり、たくさんのことを勉強してきたのですが、日本語で出題される学科をどうクリアするのかが悩みの種でした。
3人の努力はもちろんですが、実習生を担当する当社社員のメンバーは、彼らになんとか合格して欲しいと、日夜知恵を絞って試験問題に向けた勉強と対策を繰り返しました。
いよいよやってきた、技能検定試験の当日。
ワィン君、ティン君、チー君の緊張は、ピークに達していました。
技能検定は、職業能力開発協会より検定委員1名と、技能検定に向けて委託を受けた検定員の2名が実技と学科に分かれて試験を行います。その間は和泉のスタッフは立ち入ることはできません。
通訳を交えた説明を終えると、製造現場での実技試験に1名ずつ挑みます。
何回もロールプレイングを繰り返し行った成果が試されますが、彼らは和泉に入社以来、作業の中で習得した(体で覚えた)内容なので、スタッフの心配はよそに、パーフェクトで終えることが出来ました。(実習生曰くですが・・・)
実技試験を終えると、彼らがもっとも苦労していた学科試験です。こちらは、職能協会の検定委員と実習生だけで別室で行われました。(厳格なのです)
試験を終えて、会場から出てきた3人には笑顔は無かったのですが、終わった安堵感なのか?それとも学科の結果を物語っていたのか?
それが分かるのは、合格の結果が分かる一週間まで待たなければなりません。
結果は...、無事に3人とも合格!!
残りの2年間を和泉での研修を続けることが決まりました。
社内BBQでは、みんなの分の肉を焼いて振る舞ってくれるなど、仕事を覚えるだけでなく、スタッフとのコミュニケーションを通じた交流も楽しい思い出となることでしょう。
3年後、彼らが当社での技能研修を終え、祖国ミャンマーに戻って活躍し、そしてミャンマーと日本の架け橋となってくれることを期待しましょう!
『技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。
技能実習法には、技能実習制度が、このような国際協力という制度の趣旨・目的に反して、国内の人手不足を補う安価な労働力の確保等として使われることのないよう、基本理念として、技能実習は、
が定められています』
出典:外国人技能実習機構(OTIT)
https://www.otit.go.jp/info_seido/
外国人技能実習制度とは、安直に外国人を労働力として確保する手段では決してなく、人材育成を通じた国際協力であり、企業の立場から診れば、CSR(企業の社会的責任)活動の一環となります。
和泉としても、当社が行うCSR活動のひとつとして、外国人技能実習制度を取り入れるとともに、当社の社員たちに対しても、技能実習生との触れ合いを通し、国際感覚と広い視野を得るという効果を期待し、取り組んでおります。
技能の習得に向けて頑張っている彼らに、日本の文化にふれてもらおうと、息抜きもかねて近くの観光地を案内しました。写真は小牧城(小牧市)、成田山(犬山市)です。
3人からすれば、見たことの無い景色や体験!
良い思い出になったことでしょう。